当院の病理部は2004年春に病院の増改築に伴って新設された、比較的新しい部門です。「病理」という言葉は内科や外科と違って、一般の皆様にはあまり耳慣れない言葉かと思いますので、簡単にご説明します。
「病理」とは「組織病理」ともいい、顕微鏡を使って細胞を調べる検査をする医学です。
人間の身体はすべて目に見えない小さな細胞の集まりです。患者さんが胃カメラや大腸カメラの検査を受けられた際に胃や大腸の内側の壁(粘膜といいます)の一部を採取して細胞が悪性化していないかを検査することや、患者さんのおなかに溜まった水(腹水)の中に悪性の細胞が含まれていないかどうかを顕微鏡を使って調べるのが病理の仕事です。つまりCTや内視鏡など、現代の進んだ医療機器を使って検査しても、人間の目では直接見ることのできない細胞の形やその並び方に異常がないかどうかを調べるのが「病理学」なのです。
この病理検査の結果は1~2日のうちに速やかに臨床の先生に報告され、お薬の選択や、治療法の選択(手術が必要かどうかなど)に役立てられます。ですから私たち病理部スタッフは患者さんと直接お会いしてお話しすることはありませんが、臨床の先生を介して毎日多くの患者さんたちと接していることになります。
病理部のもう一つの重要な仕事は、外科の先生が手術で取られた臓器を調べて「進行度診断」を確定することです。手術前には内科の先生が病気がどの程度進んだ段階にあるのか(これを「進行度」といいます)を決定し、外科医はそれに基づいて手術法を選択しますが、病理ではその診断を顕微鏡を使って判定します。つまり、細胞レベルで転移の有無などを調べて最終的な進行度を決定し、これは手術後のお薬の使い方などに反映されています。
病理部の仕事は年々増えており、2006年にはこれらの診断件数はすべて合わせて約5,500件に達しました。内科や外科の先生がいくら良い検査、治療の技術を持っていても、その最終的な判断は病理検査にゆだねられ、その責任は重大です。病理部では日々臨床各科との連絡を密接にして、患者さんの健康の回復のために最善をつくしています。
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| 高橋 利幸 |
| 病理部長 |
| 昭和58年 |
| 北海道大学医学部卒業 |